パラリンピックとアーツ スタディーグループ第3回会合

第3回会合 2016年6月30日
「造形美術分野の実践事例」

「『グロー(GLOW)』の取り組みと障害者芸術活動支援のひろがり」
社会福祉法人グロー(GLOW)法人本部企画事業部次長 齋藤誠一

 社会福祉法人グロー(GLOW)は、障害のある人の地域生活移行の推進を目的として、芸術活動支援を行っている。2004年に障害のある人の作品の紹介を中心に据えた「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」を開設した。NO-MAでの企画展開催と併せて、県内外への出張展示、国内やアジア地域での作品調査、学校での教育普及、海外美術館との連携、障害のある作者への著作権保護などに取り組んでいる。また、障害者や高齢者にボランティアとして企画展の運営に関わっていただくことで、居場所づくりに繋げる取り組みも実施している。国内外の美術館との連携を通して、アール・ブリュットの広がりにも努め、2010~11年にはパリで「アール・ブリュット・ジャポネ展」(主催:パリ市立アル・サン・ピエール美術館)が開催され、778点の作品が紹介された。
2014年度から厚生労働省の「障害者の芸術活動支援モデル事業」の連携事務局として、全国のモデル事業実施団体間の連絡調整を行うとともに、2015年に設立した「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク」の運営支援を行っている。グロー(GLOW)は、行政とのパートナーシップのもと、継続的に、障害のある人の芸術活動支援を行っている。障がい者の芸術活動を支援する中で、福祉だけではない様々な分野との繋がりが生まれるとともに、可能性が開けてくる。この可能性をさらに広げていけるように、国内外の関係機関と連携を取りながら、支援に取り組んでいきたい。

「たんぽぽの家からの発展―アートを通して豊かに生きるための試行と提案」
一般財団法人たんぽぽの家 理事 森下静香

 1995年、たんぽぽの家は、障がいのある人を中心とした社会を変えていくためのアートの運動として「エイブル・アート・ムーブメント」を提唱した。東京都美術館での2度の「エイブル・アート展」の開催から始まり、企業との連携も含め様々な分野の人々と協働しながら、また助成財団の支援を受けながら、現在は、展覧会やプログラムの企画運営、企業や行政との仕事、シンポジウム、セミナー、ワークショップの各地での開催、厚生労働省の芸術活動支援モデル事業としての相談支援、コミュニティの中でのアート展、復興支援など幅広い活動を行っている。2007年に始まった「エイブルアート・カンパニー」は著作権の保護と利用を促し、ビジネスに繋がることを目指している。約1万点の作品がWebサイトで閲覧可能になっており、アパレル、家具、文具など幅広く使用され、可能性が広がっている。
2016年9月奈良県香芝市に開館予定の「Good Job!センター」では、障がいのある人がものづくりやサービスの担い手になることを目指している。我々は、アートやデザインを通して、障がいの問題や個人の可能性を、福祉の領域を超えて社会化していくことができると考えている。また、コミュニティの中で相互依存できる関係や繋がりをつくることで自立性が高まり、障がいのある人も福祉も、それぞれ役割を果たすことができていくのではないかと考えている。

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参加者とディスカッションする講師


IMG_4087.JPG会場の様子