パラリンピックとアーツ スタディーグループ第6回会合

第6回 2016年11月1日
「リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックでの芸術文化事業レポート~障がい者の活動を中心に」

文化プログラムの概要
ニッセイ基礎研究所 研究理事 吉本光宏
リオ組織委員会による公式文化プログラムは、大統領の弾劾問題などの不安定な政治情勢や厳しい財政事情により、計画は練られたもののほとんど行われなかったが、それでも現地では多様な文化事業が展開されていた。一方、リオ市は、公募し採択した文化プログラムに3億円ほどの助成金を支給し、オリンピック、パラリンピック期間に合わせて2500件ほどの文化プログラムを実施した。また、リオ市が発行した「文化パスポート」は、ブラジル全州からの登録があり、ブラジル人が文化を日常的に楽しむ機会を促進するものとなった。各国が設置したホスピタリティハウスのジャパンハウスや、東京都とアーツカウンシル東京による文化プログラムの1つ「TURN」では、長蛇の列ができ、ブラジル人の日本文化への関心の高さを伺えた。荒廃していた港湾部を大規模に再開発し、エリア一帯をオリンピック大通りとして市民に開放した。この港湾部が清潔で安全な場所になり、様々な文化イベントが開催され憩いの場になったことを、リオ市民はオリンピックの成果として大変歓迎しているということである。

文化プログラムや開閉会式を中心とする障がい者の活躍
スローレーベル ディレクター 栗栖良依
リオ滞在の前半は、現地の情報が入手しにくい中、現地コーディネーターを頼りに、開会式やブリティッシュカウンシル関係の文化プログラムなどを、一障がい者の立場で視察した。障がいのある方のボランティアが非常に多く、車いすの貸し出し、競技場間を移動できるカート、競技場内の車いす優先シートなどのサービスがあった。開会式では障がいのある方自身の表現ではなく、彼らへの'支援'を見せる演出が多かったことや、手話や字幕などの情報保障があまりなかったことが残念であった。後半の11日間は、閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーの8分間の舞台のステージアドバイザーとして、アクセスコーディネーターとアカンパニストと共にアクセスチームを構成し、障がいのある方9名が演じる8分間の舞台を制作した。安全なフライト移動、滞在、制作活動のために、事前の準備やその場の対応でサポートに努めた。このアクセスの考えが現場で試せ、必要であると主催者側に理解され、演出側に障がい者当事者の意見を汲み取ってもらえたことなどは大きな成果である。2020年はアクセスの考え方をもっと詰め、大規模な舞台に対応できる仕組みの構築が必要になるが、関わる者の意識が変われば誰にでもできる可能性がある。2020年は、「100人のスペシャリスト、1500人のボランティアキャスト」が目標である。人の育成やノウハウの蓄積がレガシーであると信じている。障がいのある人ない人関係なく、誰もがアカンパニストとして支えあえる社会が理想的であると考えている。人を育てることで、2021年以降この理想的な社会に近づければよい。

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IMG_4291.JPG報告中の講師