2014年8月8日から8月10日まで、有明スポーツセンターにて、「2014ジャパンパラ ゴールボール競技大会」が開かれ、最終日の様子を当研究会の研究員が見学しました。この日は、日本女子代表とオーストラリア女子代表による試合の他、男子日本代表の2チームによるエキシビションマッチ、一般参加を含めたゴールボール体験会も行われました。観客席の一部には、視覚・聴覚障害者でも競技を楽しめるよう、骨伝導ヘッドホンを通じて実況を楽しめるサービスが提供されていました。

午前中の観客は50名ほどでしたが、午後からは100名ほどに増えました。午前中の試合後に開かれたゴールボールの体験会に参加し、アイシェード(目隠し)をした状態で球を投げたり、転がってくる球を止めたりといったゴールボールの基本動作を学びました。音だけを頼りに状況判断を行うのはとても難しく、ゴールボールの奥の深さを知ることが出来ました。
午後には、エキシビションとして男子日本代表の試合が行われました。午前中の女子の試合のスコアが2対1であったのに対し、男子のエキシビションマッチは10対5という高いスコアでした。男子の試合は球の速度が速いのでかなり攻撃的になり、バウンドボールを使った立体的な攻めや、ファウルによるフリースローが多くなるなど、迫力のある場面が続きました。それでも、男子日本代表はまだパラリンピックへの出場経験がないと聞き、男子の国際的な技術水準の高さを痛感しました。男子ほど球の速度が出ない女子の試合では、全体のスピード感は異なりますが、器用にゴールを狙って得点に結びつける様子にすっかりひきつけられました。

文書作成:2014年10月7日
1. 基礎的データ整備
(1) パラリンピックの歴史の概略(開催場所、形態、選手数など)
(2) パラリンピックについての主な文献、論文リスト
(3) JPCの歴史と日本のパラリンピック参加形態、成績、選手の経歴など
(4) パラリンピック関連競技団体とその実態(国内、国際)
2. パラリンピックそのものについての基礎的研究
(1) パラリンピックの理念の変遷
(2) パラリンピック参加国、参加者の拡大と変容、その意義
(3) パラリンピック開催の財政的負担、スポンサーシップの変容
(4) パラリンピックをめぐる報道の変容
(5) パラリンピックと五輪本体との関係の変化
(6) パラリンピックにおける政治的問題とその経緯
3. 2020東京パラリンピック大会準備と直接関連するテーマの調査研究
(1) パラリンピアンの意識と要望
(2) 企業の障がい者スポーツについての意識および支援・貢献の形態
(3) ボランティア養成上の課題
(4) 日本の国際的支援の実態と今後の課題
(5) バリアフリーなど障がい者関連環境の整備状況と課題
(6) 関連団体のガバナンス(健常者団体との連携の実態など)
4. 過去のパラリンピック大会「遺産」の調査研究
《夏季大会》 東京(1964)、ソウル、バルセロナ、アトランタ、シドニー、アテネ、
北京、ロンドン
《冬季大会》 長野、ソルトレイク、バンクーバー、ソチ
日本財団パラリンピック研究会は、青山学院大学国際交流共同研究センターとの共催で、国際シンポジウムを開きます。
開催日:2014年12月19日(金)13-00-18:00
場所:青山学院大学 総研ビル12階大会議室(受付:総研ビル11階)
参加費:無料
講演テーマ: 国際交流とスポーツ外交
開催趣旨:
2020年に東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたり、スポーツがいかに人を育て、社会や国家の発展に貢献しているかについて考え、また、スポーツを通じた国際交流・文化外交 ―「スポーツ外交」について討論します。
使用言語:日本語・英語(同時通訳付き)
セッション1 国家・社会の発展とスポーツ外交(13:00〜14:30)
「2014年ワールドカップと2016年リオデジャネイロ・オリンピックに期待したもの、されるもの(仮)」
アンドレ コヘーア・ド・ラーゴ(駐日ブラジル大使)
「Sports Diplomacy in the Seoul and Peong Chang Olympic Games」
金雲龍(元国際オリンピック委員会副会長)
「近代日本とスポーツ交流--オリンピックと野球を中心に」
池井優(慶應義塾大学名誉教授)
司会:土山實男(青山学院大学国際交流共同研究センター所長)
セッション2 スポーツが育てる人と社会(14:45〜16:45)
「Sports Diplomacy and International Exchange- the Case of Korea」
梁世勳(元在ノルウェー韓国大使)
「よろこびを力に--わたしの社会活動」
有森裕子(スペシャルオリンピックス日本代表、元マラソンランナー)
「国際社会における柔道の役割」
小川郷太郎(全日本柔道連盟国際関係特別顧問)
「パラリンピックの意義」
田口亜希(アテネ、北京、ロンドンパラリンピック 射撃日本代表)
司会:小倉和夫(日本財団パラリンピック研究会代表・青山学院大学特別招聘教授)
セッション3 総合討論(16:50〜17:50)
金雲龍、池井優、梁世勳、有森裕子、小川郷太郎、田口亜希、土山實男
司会:小倉和夫
敬称略
お申し込みはこちらからお願いします。
http://www.jripec.aoyama.ac.jp/report/symposium/sym0040.html
2020年パラリンピック大会の開催国として、パラリンピックとどう向き合い、どのような大会とすべきか幅広く検討し、官民の施策に役立てられる提言を行う目的で、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会評議会事務総長を務めた小倉和夫を代表に、2014年6月日本財団により設立されました。
一年後の2015年6月にはパラリンピック研究会の提言も一つの契機となり日本財団パラリンピックサポートセンター(旧称)が設立され、パラリンピック研究会は2016年4月、同センター理事長の小倉和夫が直轄する同センターの一部門となりました。
パラリンピック研究会では、研究者、パラリンピアン、企業関係者、日本パラリンピック委員会を中心とする障がい者スポーツ関係者、ジャーナリストなどからもアドバイスを受けつつ、パラリンピックをめぐる広範囲の課題について、調査・研究を進めています。成果の一端を紹介する紀要を発行し、また、研究機関と共催の国際シンポジウム、さまざまな分野の専門家や実務者を講師に招いての勉強会等を開催しています。
日本財団パラスポーツサポートセンターの情報はこちら
パラリンピック研究会の設立に際して
2014年6月
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催が決定したことは、日本全体として、それを契機として、また2020年を超えて、さらに未来に向けて、実現すべき課題や目標を明確にする必要があることを意味しています。
とりわけ、安心、安全な社会を日本が目指す以上、また日本社会が高齢化しつつある現在、障がい者スポーツの祭典であるパラリンピックをどのように運営し、どのようにそれを日本のため、アジアのため、そして世界のために生かして行くべきかを考えねばならないと思われます。
言い換えれば、老若男女、健常者と障がい者、日本人と外国人がダイナミックに共生できる社会を実現するためのインスピレーションをあたえてくれるものがパラリンピックではないでしょうか。
ひるがえって、日本の現状を見ますと、パラリンピックは、依然として障がい者スポーツの枠内に位置づけられ、世界の先進的潮流に遅れつつあります。日本が、世界の先頭集団のなかに立つためには、パラリンピックの理念、歴史、実態、日本やアジアの関与の仕方などを、原点に立ち返って調査、研究し、日本の課題を整理し、取るべき施策を探求する努力が必要と考えられます。
このような見地から、日本財団はこのほどパラリンピック研究会を立ち上げました。その研究計画や成果をこのホームページで多くの皆様と共有させていただきます。
パラリンピックに関心のおありになる方々と、ともに考え、ともに手を携えてゆきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小倉和夫

2014年8月23日、東京都障害者総合スポーツセンターにて「めざせパラリンピック!可能性にチャレンジ2014」と称して、これから障害者スポーツに挑戦する若い世代に向けたパラリンピック競技の合同体験会が開かれ、当研究会メンバーが視察に訪れました。
体験会では、車いすテニスやアーチェリーといった車いす競技だけではなく、視覚障害者柔道、ボッチャ、アイススレッジホッケーなど、多種多様なパラリンピック競技に、子どもたちや若い世代の人々が楽しそうにチャレンジする姿が各会場で見られました。
午後には「パラリンピックアスリートへの道」と題して、次世代のパラリンピック選手育成に向けた講演会も催されました。登壇者として、パラリンピアンの河合純一選手(バルセロナ・アトランタ・シドニー・アテネ・北京・ロンドンパラリンピック出場、水泳)、鈴木徹選手(シドニー・アテネ・北京パラリンピック出場、陸上)、京谷和幸選手(シドニー・アテネ・北京・ロンドンパラリンピック出場、車いすバスケット)の他、一般アスリートからも為末大選手(シドニー・アテネ・北京五輪出場、陸上)が、選手生活の中での家族の支え、パラリンピック出場に至るまでの過程、ドーピング対策の苦労、パラリンピック出場の際の思い出、次世代に向けてのメッセージなどを語り合いました。
文書作成:2014年10月7日

写真1:障害者専用駐車場への坂道

写真2:観客席からの眺め

写真3:車椅子観客席

写真4:競技場内
2014年8月19日に、特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議の方々と共に解体中の国立競技場を視察しました。
DPI日本会議は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、各競技場の設備について障害者の視点から調査し、関係機関へバリアフリーに関する提言を行う活動をしています。当研究会でも競技者の目線からの競技場のバリアフリー調査を行っていることから、共同研究者である東洋大学川内美彦教授(人間環境デザイン学科)とともに、今回の視察に同行して参りました。
国立競技場の職員2名に案内していただき、既に解体工事を開始している競技場内の見学を行いました。最初に見学したのは駐車場。国立競技場には約100台の駐車スペースがありますが、身体障害者専用として5台分の枠が別途設けられています。普段は門が施錠されており、利用の際は職員がカギを開けるシステムだったそうです。(写真1)門の先の坂道を上りきったところが観客席の3階部分と同じ高さなので、車から降りてそのまま観客席へとアプローチすることができました。3階席部分の車椅子観覧席に実際に入り、座席幅や高さを計測しました。車椅子のメンバーは、座席からの眺めを確認しました。(写真2)(写真3)
その後、多目的トイレや選手が使用する廊下と更衣室を見学し、競技場内へと移動しました。更衣室のあるエリアから競技場まではスロープが設置されていますが、車椅子ユーザーの方々は角度が少しきついという感想を述べていました。(写真4)
今後も複数の競技場を視察し、障害当事者にとってバリアとなる点を明らかにし、より快適な施設の在り方を考えていきたいと思います。
日本財団のプレスリリースへ
日本財団は2020年東京パラリンピックに向け、民間の立場でパラリンピックの在り方を検討するため「日本財団パラリンピック研究会」を本日6月3日付で立ち上げました。目的等は以下の通りです。
1:研究会の狙い
開催国として、パラリンピックとどう向き合い、どのような大会とすべきか幅広く検討し、政府や東京都が進めるパラリンピック対策へ反映させたく考えます。
2:現状に対する研究会の認識
パラリンピックは近年、競技性の急速な高まりとともに勝利至上主義的な傾向が進むなど、パラリンピックの在り方が一つの課題となっています。障害の程度に合わせ、どのように競技を再編していくか、といった問題もあります。また少子高齢化が急速に進む社会の中で、障害者およびパラリンピック選手をどう位置付け、育成していくか、新しい問題も出てきています。
3.主な研究内容(予定)
(1) パラリンピックに関する資料・データ整備
(2) パラリンピックの社会的・経済的意義の評価研究
(3) 2020年東京パラリンピック準備に関わるテーマの調査・研究
これらの問題点について、過去の大会の検証も含め幅広く調査・研究を進め、2年後の2016年春を目途に提言をまとめる方針です。
4:組織
東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会評議会事務総長を務めた小倉和夫(日本財団特別顧問)を代表に、日本財団や笹川スポーツ財団、若手研究者で構成します。学者、パラリンピアン、企業関係者、日本パラリンピック委員会を中心とする障害者スポーツ関係者、ジャーナリストなどからもアドバイスを受け研究を進める予定です。
[連絡先]
日本財団パラリンピック研究会
〒107-0052 東京都港区赤坂1-3-5 赤坂アビタシオンビル4F
TEL:03-5545-5991 FAX:03-5545-5992
主任研究員:中島裕子 y_nakajima@ps.nippon-foundation.or.jp
事務局:重光順子 j_shigemitsu@ps.nippon-foundation.or.jp
[お問い合わせ先]
日本財団 広報グループ
担当者: 福田英夫・富永夏子・山口領・宇田川貴康
住所: 〒107-8404 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル内
電話番号: 03-6229-5131
FAX番号: 03-6229-5130
メールアドレス: pr@ps.nippon-foundation.or.jp