日本財団パラリンピック研究会 国内外一般社会でのパラリンピックに関する認知と関心 調査結果報告

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日本財団パラリンピック研究会
国内外一般社会でのパラリンピックに関する認知と関心
調査結果報告

パラリンピック研究会では、社会でのパラリンピックに関する認知と関心の度合いを把握するため、2014年9月から10月に笹川スポーツ財団の協力を得て、国内およびドイツ、アメリカ、韓国、フランス、オーストラリア、計6ヵ国で、世論調査を実施しました。
国内大手調査会社および同社の海外提携企業にアンケート・モニターとして登録される人々、国内で1500人、海外の5ヵ国で各500人、合計4000人(回答者の母数は6ヵ国合計で1450万件)にインターネットで回答いただきました。

調査結果の概要を以下にご報告します。
調査結果の詳細データをあわせてご参照ください。

調査結果データ(PDF)

1.日本におけるパラリンピックの認知・関心と国際比較

(1)認知度

日本では、ほぼ全員が「パラリンピックを知っている」。
「内容を知っている」人(77.1%)と「名称を見たり聞いたりしたことがある」人(21.1%)を合計すると98.2%が「パラリンピックを知っている」。
20代男性では7割弱とやや低いが、年齢に比例して認知度が上がり、女性が男性よりどの年代層でも高い認知度を示す。
海外では、ドイツ、フランスで95%以上がパラリンピックを認知する一方、アメリカおよび韓国では7割台と低い。特にアメリカでは内容を知っている人が2割台にとどまる。
海外各国との比較から、日本でのパラリンピックの認知度は世界トップの水準にあると言うことができる。

一方、どの種類の障害者が参加できるかについて正しい知識を持つ人は、国内では全体の0.5%に過ぎない。過半数の人が聴覚障害者に参加資格があると誤解するなど、正しい知識の普及には至っていない。なお、知的障害の参加が認知されていないことには、シドニー(2000年)で不正があった後、ロンドン(2012年)の一部競技で復帰するまで参加がなかったことも影響しているかもしれない。
海外でも、どの障害を持つ人が参加するかを正しく理解する人の比率は軒並み低い。アメリカでは視覚障害が含まれないという誤解、フランス、韓国、ドイツでは日本と同様に聴覚障害が含まれるという誤解が多いなどの傾向がみられる。

(2)メディアを通じたパラリンピック経験

日本では、メディアを通してパラリンピックの報道に触れたことのある人が9割に達する。半数近くの人がテレビでパラリンピックの中継を見たことがある。
テレビのニュース・特集番組等と新聞・雑誌による報道が数値を押し上げている一方、インターネットでの中継等動画の視聴経験者数は6ヵ国平均の半分程度と低調。
能動的な接触であるというインターネット視聴の特徴を踏まえると、国内のメディア接触には他国に比べて積極的な姿勢がやや弱い傾向があると言える。
海外では、韓国、オーストラリア、アメリカで、インターネットでの接触経験者が多い。
韓国ではインターネット中継に加えて、新聞および動画以外のインターネット記事による情報入手も、6ヵ国中で最多。
アメリカ、ドイツ、オーストラリアでは、いずれのメディアでもパラリンピックに接した経験のない人が多いが、若年層でインターネットないしは新聞への接触度が比較的高いという特色もある(詳細データ略)。

一方で、中継を通じて観戦される競技は、車いすバスケットなど一部に限られる。パラリンピック競技の半数以上(25競技中14競技)では、観戦経験のある人が1割未満にとどまる。
海外を含む6ヵ国平均で観戦経験の多い競技は、車いすバスケットボール、陸上、水泳、車いすテニス、アルペンスキーの順。日本では、車いすテニスが車いすバスケットを上回る。他国に比べて中継が少ない競技は、ウィルチェアラグビー、卓球、馬術、ボート、パワーリフティングなど。
韓国のアーチェリー、アメリカの自転車、韓国およびアメリカの卓球の高さが目立つ。

(3)障害者スポーツの直接観戦経験

日本でパラリンピック以外の障害者スポーツを直接観戦した経験のある人は5%未満。他国ではいずれも10%以上にのぼるのに比して、極端に少ない。

2.2020年東京パラリンピック大会への国内の関心

(1)観戦希望

6割強の人がメディアによる中継の観戦を希望している。
この数値はオリンピックの中継観戦希望を上回るが、他方で、会場で直接観戦したい人はオリンピックでの希望の約半分程度にとどまる。
若い人に直接観戦希望が強く、年配者が中継を期待する傾向は、オリンピックと共通。

(2)ボランティア参加意向

6%の「是非」に「できれば」を加えると27%の人が、ボランティアとしてパラリンピックに参加することを希望している。「是非」行いたいという回答では、男性が女性を上回る。
20代の男女が特に高い参加意向を持つ一方、40代では男女とも参加意向が低い。
オリンピックとパラリンピックの両方でボランティアを行いたい人が全体の4分の1。いずれかでという人はパラリンピック、オリンピックとも少数(詳細データ略)。

(3)期待すること

過半数の人が東京パラリンピックを機に、「障害のある人のスポーツ機会がふえ環境が充実すること」を期待している。「公共施設等のバリアフリー化進展」への期待も48.9%と高い。これに、「障害者福祉に関する理解促進」が次ぎ、「日本のメダル獲得数増加」への期待は4つの選択肢のうち最少の38.5%にとどまる(複数回答可)。
相対的にメダル獲得への期待が高い20代の回答でもやはり、「障害者のスポーツ環境の充実」と「公共施設等のバリアフリー化」が「日本のメダル獲得数増加」を上回る。
「障害者のスポーツ環境の充実」と「公共施設等のバリアフリー化」を期待する女性は、男性より1割前後多い。
バリアフリー化への期待は年代を追って高まる。
他方、「期待することは特にない」という回答が2割を超え、関心の薄い層が一定程度存在することが示されるが、これには、回答者の趣味嗜好との極めて高い相関関係がみられる。外に出て活動する気持ちの強い人ほど、パラリンピックとそれがもたらす社会変革に強い期待を持つと言うことができる(詳細データ略)。

本件調査報告の内容を利用・転載する場合は、日本財団パラリンピック研究会の調査によるものであることを明記のうえ、掲載部分の写しを同研究会にご提供ください。