第6回 ワークショップ

第6回 2015年2月12日
「血のかよった義足で挑むパラリンピック」

講師近景.JPG写真:義肢装具の最前線について説明

ユーザーの二ーズに合った義足づくりをモットーとするひとりの義肢職人が、走ることのできる義足、競技用義足の研究開発を進めてきた。彼の仕事によって、子どもを含む様々なユーザーが「走り出す」ことが可能となった。さらに、私的な活動として義足陸上クラブを設立・運営し、100名近いランナーに練習機会を提供している。

一方で日本における競技用義足の普及はまだこれからである。現在の競技用義足は板金状の足部をたわませることで脚力を生み出している。この競技用義足を使いこなすには技術が必要であり、初心者が使うと膝や股関節を痛めてしまう。しかしまだ競技用義足の指導が可能な体育指導員が不足しており、障がい者スポーツ協会が指導員の育成を行っているというのが現状である。

装具装着によるデモンストレーション.JPG

写真:装具装着による歩行デモンストレーション

また、競技用義足を使うには一つ一つの細かい微調整が必須である。例えば著名な陸上競技パラリンピアンの競技用義足は板バネだけで50万円ほどするが、それに比べ日本における開発環境は資金面でまだまだ不十分であるといえる。

一般用の義足を用いる多くの方は糖尿病による下肢の切断というものが非常に多い。また、海外製の義足はアライメントの微調整が困難であり、国内での義足の開発を進めている段階である。競技用義足の開発も研究機関と連携しつつ進めている。ちなみに、子供の方が適応能力が高いため、幼少期から競技用義足の訓練を行うと非常によく伸び、また父母の意識もそれに影響されて変化するということがいえる。

会場での質疑応答の様子.JPG写真:ワークショップの様子

なお、通常の義足と競技用の義足は多くの点で異なり、その使用方法も異なる。また、各競技に特化した義足が開発されている。