第7回 ワークショップ

第7回 2015年3月5日

「パラリンピックに於ける医学的支援」

講師による説明.JPG

写真:会場の様子

パラリンピックでは出場選手が障害を抱えているということで、健康管理には細心の注意が必要となる。ここ10年ほどのパラリンピック大会を振り返ってみても、ほぼ毎回の大会で健康面に問題の生じる選手がいる。また、現在は選手が各自任意の医療機関で診断書を取っているが、今後は障害者の専門医が一元的にチェックできるような体制を整えていくべきである。また、数値だけでなく個々の選手の状態をしっかりと把握することが大事であり、そのような専門家の育成が急務である。

スライドを説明する講師.JPG

写真:車いすバスケットを例に専門知識の重要性について説明する講師

競技のクラス分けについては時代とともに変化してきているが、現在はIPCコードというクラス分けコードに従って行っている。競技によってクラス分けの方法は細かく規定されており、例えば上肢や下肢それぞれの可動範囲の程度などによってクラス分けを行うなどしている。しかし、条件・状況によって障害の程度が変化する場合はどうするべきか、あるいは、IPCの方針としてメダルの価値を高めるためにクラス分けを大まかにしてきているが、そこで拡大する選手間の有利・不利の問題はどうするかなど、様々な困難がある。

アンチ・ドーピングは、禁止薬物や禁止されている方法が細かく規定されている。年々罰則が厳しくなる傾向にあり、選手当人はもちろん、使用に関わったコーチや競技団体に対しても罰則が適用されるようになってきている。ドーピング検査は手続きが詳細に決められており、手続きを厳守する必要がある。また、常用の治療薬が禁止薬物に該当している場合もあるため、その際は大会に向けて薬を切り替えるか、使用特例(TUE)をもらうなど対応が必要である。

会場での質疑応答.JPG写真:質疑応答の様子

パラリンピックの今後の課題としては、重度障害の競技種目の開発による社会参加の促進、女性の更なる参加などが挙げられる。競技性は高まる傾向にあるが、彼らの活躍によりIPCのモットーである「Spirit in Motion 」を実現してほしい。また、近年は障害者をinpairmentと呼ぼうという流れになっている。