第14回ワークショップ
第14回 2015年10月6日
「ロンドンパラリンピック大会を振り返って」
「パラリンピック発祥の地英国におけるレガシーを考える」
現在のイギリスにおける障害者のメインストリーミング=一元化は「一般のスポーツ協会や健常者向けのプログラムを推進する協会が、障害者に対しても同様の運営をすること」と定められている。また、イギリスでもアメリカの「障害を持つアメリカ人法」(1990)を受けて1995年に「障害者差別禁止法」が施行され、障害者のスポーツ支援の根拠となっている。
イギリスでは2012年ロンドンパラリンピック大会(以下ロンドン大会)への準備を通じて、1.競技団体の責任の明確化、2.評価システムの構築、3.オリンピック選手と同様の強化システムの採用、といった変化がみられた。ロンドン大会最大のレガシーとは、全てのレベルに全ての人が参加するという考え方、そして、Sports for All理念が普及したことである。イギリスも順風満帆に進展してきたわけではないが、ロンドン大会が契機となった。日本も2020年東京パラリンピック大会(以下東京大会)を通じて更なる発展ができるのではないか。
「ロンドン大会の「遺産(遺訓)」~日本選手団への教訓を考える」
第一に、競技レベルが世界から遅れを取っている。また、用具のオーダーメイド化が高コスト化を招いており、性能の高度化と普及のバランスが難しい。外国チームはおしなべて情報収集能力も優れている。
競技団体のガバナンスのあり方に目を向けると、競技団体ごとにその体制に随分とばらつきがある。また、障害者対策の実践と法律の乖離をどう是正するかも課題である。
ロンドン大会の観客増加の要因は、1.オリンピックの成功、2.安価なチケット、3.夕方以降のプログラムの存在、4.Channel4によるTV放映が挙げられる。これらは東京大会成功の鍵として参考になるのではないか。
「ロンドン2012と東京2020のレガシー」
ロンドン大会が成功した要因として、1.オリンピック・パラリンピック同一団体による大会主催、2.イギリス選手団の好成績、3.大会終了後のオリンピアン・パラリンピアンの合同パレードとその報道が挙げられる。
また、イギリス人の余暇を楽しむ文化、生活に入り込んだスポーツ文化なども重要な要因である。日本においても東京大会のレガシーとして残すべきではないか。
他にも残すべき東京大会のレガシーとして、1.日常的にスポーツに参加できる環境の実現、2.運動の習慣化、3.スポーツを通じた成功体験の獲得などが挙げられる。