第15回ワークショップ
第15回 2015年11月5日
「パラリンピック報道とパラリンピックレガシー」
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下東京大会)におけるレガシーの一つとして、障害者へのポジティブな意識、共生社会の実現が挙げられている。
パラリンピック報道を分析すると、男らしさ、女らしさといった既存の価値観に基づいた報道が多いことがわかる。
パラリンピックはそれ自体に、1.公平性と競技性、2.重度障害者の位置付けの不確かさ、3.健常者になれない障害者、など矛盾した価値を内包している。しかし、価値観の多様化・共生社会の実現を考えるのであれば、通常のスポーツが追究する「より速く、より高く、より強く」とは異なる価値観を提示すべきであり、その意味でボッチャのような重度障害者の競技をどのように報道するかが問われている。
一般的なスポーツが体力の限界に挑むのに対し、障害者スポーツは多様性の限界に挑むという側面を持つ。その意味で障害者スポーツの振興は、多様な価値観を認める共生社会の実現に重要な意義を持つのではないか。