第19回ワークショップ
第19回ワークショップ 2016年5月26日
「リオデジャネイロ・パラリンピック大会とブラジルにおける障害者政策」
(2016 Rio Paralympic Games and Inclusion Policies for People with Disabilities in Brazil)
2016リオデジャネイロ・オリンピックと同一組織によって開催されるリオデジャネイロ・パラリンピック大会は,総人口約2億人のうち約2000万人の障害者人口を社会へと統合してゆく機会となる。ブラジル人の自尊心の高揚,3次元の大会ロゴ,大会本部における約7%の高い障害者雇用率の確保,インクルーシブ教育の実施といった取り組みにより,障害者の統合を促進してゆく大会となる。
1995年のブラジル・パラリンピック委員会(BPC)設立は,1992年バルセロナ大会で37位であったブラジル代表チームの成績順位を押し上げる一因となってきた。アトランタ大会32位,シドニー大会24位,アテネ大会14位,北京大会9位,ロンドン大会では7位という各大会の成績向上の効果を発揮してきた。
ブラジルにおける社会包摂性・障害者政策は,1988年に制定されたブラジル連邦共和国憲法第203条を中心に推進されている。2007年,ブラジルは国連障害者権利条約を批准し,これを憲法で定めたことで,国内関連法は憲法と同じ水準にある。2011年に制定された障害者に対する国家計画"viver sem limite"(「限界なく生きる」)は教育,ヘルス・サポート,社会統合,アクセシビリティという4つの軸を含み,障害者の社会への包摂は一層強化されてきた。
スポーツは個人や社会が一つになり,文化道徳的な分断をまとめる力をもっている。この意味で,パラスポーツはどんな障害をもつ人々にとっても,統合のツールとなる。我々はリオでのレガシーを東京と共有したいと考えている。パラリンピックのスポーツマンシップを通じ,障害を乗り越え,権威・尊厳を持って社会包摂を可能とすることを証明したい。