第22回ワークショップ 

第22回ワークショップ 2016年12月6日
「イギリスにおけるインクルーシブスポーツの取り組みと実践~2012年ロンドンパラリンピック競技大会における戦略とレガシー」

 「インクルーシブ」という言葉は歴史も古く、特定の社会的マイノリティの人々が社会に参画できていない状況-エクスクルージョンの反対の概念として使われており、日本においては、共生概念というとらえ方が一般的である。東京2020大会開催が決定されて以降、日本における「インクルーシブな社会」の実現が求められるようになる中で、2012年ロンドンパラリンピック大会における「インクルーシブ」な取り組み、戦略が参考になる。

 ロンドン大会では、地域社会におけるインクルーシブの拠点として大きく貢献したのが大学であった。具体的には、障がいの有無にかかわらず、子どもから高齢者まで利用できる図書館の開設、大学施設(体育館など)の開放、大学施設のバリアフリー化などが行われた。また、女性スタッフや中高年の人たちの雇用が積極的に行われ、スポーツ面では、インクルーシブゾーンバスケットボールのように、健常者・障がい者のどちらも同時にプレーできるユニバーサルスポーツの取り組みも行われた。

 さまざまな人、団体がロンドン大会をつくりあげてきた訳だが、特に以下の5つのステークホルダー、①協賛企業、②メディア(チャンネル4・BBC)、③政府・組織委員会、④障がい者スポーツ団体 ⑤障がい者団体らによる戦略が大会成功の大きな鍵を握っていた。これらの団体が組織を超え、統合し、メディア、企業、政府と関わっていくことが大切になってくる。

 2020年東京大会に向け、スポーツへの参画を高めるには、インクルーシブ教育を取り組んでいく必要があり、障がい者・障がいへの理解を深め、インクルーシブ社会を実現していくにあたり、東京パラリンピック大会を大いに活用することができるはずである。

IMG_4364.JPGIMG_4374.JPGワークショップの様子