第23回ワークショップ

第23回ワークショップ 2017年2月23日
「インクルーシブスポーツの社会的意義-その理論と実践

 近年、パラリンピックムーブメントが盛り上がることによって、健常者、障がい者を問わず、誰もがスポーツに参加できる機会を持つという公平性が、スポーツにおいても求めらるようになっている。公平性に加えて、インクルージョン(包括)も重要になってきており、障がい者や女性、マイノリティーが社会参画のできる、生活しやすい街になるよう、継続的に考え続ける社会づくりをしていく必要がある。

 こういった公平性、インクルージョンを確保するために、地域社会の拠点として、大学をはじめとした「学校」の果たすべき役割は大きい。例えば、英国ウースター大学において講義の一環で「障がい者スポーツ学」を学んだ学生は、障がい者への理解を深め、関連資格を修得し、地域に出て実際に中高生を教えるという経験を積むことができる。さらに、この講義には学生のみならず、地域の小中高校の教員、大学の教員が参加することも可能であり、2012年のロンドン大会を機に、多くの人が受講するようになった。このような教育活動を継続することにより、多くの人に障がい者スポーツを体験してもらい、大学から地域に向け、教育の輪、障がいへの理解の輪を広げ、その循環を作っていくことができる。

 パラリンピックムーブメントを考えるにあたり、各国がメダル数を増やすことも重要だが、その前に、まずその国の障がい者に対する社会の「意識を変える」必要があり、それは様々な他者と対話し続けることによって達成されるものであろう。

IMG_4481.JPG参加者とディスカッションする講師