第27回ワークショップ

2017年12月1日
テーマ:「2020、2024、2028へと繋がる日本発メッセージ 〜技術とスポーツ創造を中心として〜」
講師:稲見昌彦氏(東京大学先端科学技術研究センター教授、JST ERATO稲見自在化身体プロジェクト研究総括、一般社団法人超人スポーツ協会共同代表)

 現代社会は「Society 5.0」や「超スマート社会」と呼ばれ、コンピューターやスマートフォンが欠かせない社会となっている。情報社会のさらなる進化は、もはや止めることのできない流れだが、その中で我々人間自体のあり方を考えることが必要となる。
 人間の感覚や器用さなどを拡張する「人間拡張」という技術は今まさに生まれたばかりではあるが、将来様々な場面で使用され得る可能性を持つ。人間の能力を拡張しようという考えは古くから存在するが、その際にテクノロジーを使用することで、新たな発見に繋がるであろう。「人間拡張」の技術は、物事を便利にすることで人間を支える一方、我々の世の中に対する見方を変化させる可能性も併せ持つ。「人間拡張」によって身体そのものを変化させるだけではなく、我々の脳がどのように自分の身体を認識しているかという身体性をも編集し得る。すなわち、テクノロジーによって超人に変身することで、その人間の精神も変わり得るだろう。
さらには、テクノロジーによる変身型のコミュニケーションというものが生まれる可能性もある。コミュニケーションをとる相手の立場になってみることで、言葉で聞いても分からなかったことの体験が可能となり、相互理解への効果が期待できる。
2020年東京大会では、日本の伝統を世界に見せることも大切だが、来世紀では当たり前となることを作り出すことも一つのレガシーではないだろうか。
現在、スポーツとの関わり方がわからない人たちが、何らかのきっかけでスポーツに関わる機会が増えれば、スポーツに対する見方も変化するだろう。伝統を守り続けることも大切ではあるが、未来から見て伝統となるものを現在において創造することも求められている。
コンピューターの世界は多様性を支援する可能性を持っている。現実世界では活躍できない人々が、コンピューター上の世界で活躍する例もある。テクノロジーが身体的な多様性や価値の多様性を支えていくことが、日本産業の価値に繋がるのではないだろうか。それをスポーツによって実現して行くことが「超人スポーツ」の理念でもある。