第29回ワークショップ
2018年4月12日
テーマ:「平昌パラリンピック大会報告および2020年東京大会に向けての提言」
講師:大日方邦子氏、荒井秀樹氏、佐野慎輔氏(モデレーター)
2020年大会を2年後に控え、日本メディアの注目が集まったことを実感する大会となった。
競技面では、日本選手団のメダル総数が10個、その内金メダルが3個という好成績を収めたが、まだ多くの課題が残されている。強豪国では競技拠点化が進んでおり、マルチな才能を持つ選手は夏季・冬季を問わずに競技選択を行っているなど、各国の状況は変化しつつある。日本においては、国立スポーツ科学センター(JISS)やナショナルトレーニングセンターをはじめとしたパラリンピアンの練習環境の改善、オリンピック選手との経験の共有、より一層の技術開発等が求められている。また、選手発掘に関しても、夏季競技だけではなく冬季競技も充実させていく必要がある。
大会運営面では、ボランティアのレベルにばらつきが見られた。また、開催国である韓国の観客を中心に盛り上がる場面もあった一方、人気のない競技については観客の少なさが目立った。パラスポーツの面白さを伝えることで、競技ファンを増やしていくことが必要だろう。東京大会に向けては、国際大会開催によるノウハウの蓄積、元アスリートの活用、大会ボランティアの教育などが検討課題として挙げられる。
長野冬季大会がその後の日本にとって有意義であったように、東京大会で培われたものが2020年以降、長期に亘って大きな影響を与えて行くであろう。また、日本はアジアにおいてパラ競技をリードしていく役割も担っている。共生社会を実現させるために、東京大会、そして北京大会に向けて、われわれは何を残したいのかを決めていく時期にさしかかっている。