第31回ワークショップ
2018年10月25日
テーマ:「インターネットとソーシャルメディアにより拡大するパラリンピック−インスピレーション、変革、そして『史上最高の』東京大会−」
講師:ジル・ルクレール氏(英国コベントリー大学客員研究員)
ソーシャルメディアとスポーツは、社会における排他性に注目する際の重要な要素である。中でも、ソーシャルメディアはポジティブ、またネガティブな内容に関わらず、世論を形成する力を有している。
現在、多くの人々が利用しているInstagram、Twitter、Facebookなどのソーシャルメディアは、視覚的な魅力があり、費用がかからず、誰もが参加できる点などが長所とされている。しかし、その一方で、多くの人を排除し、少数の手に権力を委ね、ユーザーを操作していると考える懐疑派も存在する。
近年、既存メディアの減少を受け、ソーシャルメディア上の情報に依存せざるを得ない状況が生まれている。さらには、海外の既存メディアにおいては障がい者スポーツが、取り上げられることは少なく、ソーシャルメディアもなかなか取り上げないのが現状である。障がい者スポーツに関する記事があったとしても、取り上げられるのは「悲劇のヒーロー・ヒロインの克服ストーリー」であり、「他者に依存する障がい者」という目線で語られる場合が多い。
そういった中、2012年ロンドンパラ大会において注目された「Meet the Superhumans」キャンペーンにおいて、「Superhumans」という言葉が適切かどうかについて賛否両論があったものの、パラリンピックの認知度向上を図るため、パラリンピアンの卓越した能力に焦点を当て、障がいに関する肯定的なメッセージを発信し、障がい者に対する偏見に立ち向かった。
日本における障がい者を取り巻く言説について検証すること、パラリンピアンと障がい者コミュニティの橋渡しをすること等において、ソーシャルメディアの活躍が期待される。