第3回 ワークショップ

日本財団パラリンピック研究会が2014年9~10月に日本、アメリカ、オーストラリア、韓国、ドイツ、フランスの6ヵ国で実施した「一般社会でのパラリンピックに関する認知と関心」調査から得られたデータを提示し、以下の点を中心に概要報告を行いました。
調査結果データは、こちらをご参照ください。

①パラリンピックに関する日本での認知度は98.2%で、世界トップレベル。ただし、詳しい内容を知っている人はごく少ない。
②90.1%の人がパラリンピックのメディア報道に触れた経験を持つが、観戦競技は車いすバスケットなど少数に限定される。
③パラリンピック以外の障害者スポーツを直接観戦した経験のある人は、他国でいずれも10%以上にのぼるのに比して、日本では4.7%と少ない。
④2020年東京パラリンピック大会では、61.3%の人がメディアの中継による競技観戦を、また27.0%の人がボランティアとして参加することを希望。会場で直接観戦したい人はオリンピック観戦希望者の約半分にとどまるが、中継と合わせると76.7%が観戦を望んでいる。
⑤51.1%の人が東京パラリンピックを機に「障害のある人のスポーツ機会がふえ環境が充実すること」を期待。「公共施設等のバリアフリー化進展」への期待も48.9%と高い。これに、「障害者福祉に関する理解促進」が次ぎ、「日本のメダル獲得数増加」への期待は4つの選択肢のうち最少の38.5%にとどまる(複数回答可)。

以上の報告に対して、有識者より以下のようなコメントがありました。藤田先生コメント時.jpg
・障害者スポーツに関する経験を持つと、関心が高まり、価値観が変わることが調査結果から読み取れる。学校で体育の授業に取り入れるなど障害者スポーツに触れる機会を増やすこと、また、複雑なルールをわかりやすく説明し、パラリンピック競技の面白さを簡潔に伝えることが課題となる。「伝道師」の役割が、スター選手の存在に並んで重要。さらに、パラリンピック教育という柱を立て、理念、歴史、そして同時に「負の歴史」を教育し、パラリンピック・リテラシーを高めていくことも必要。
・アスリートの高いパフォーマンスに対するリスペクトを原点とするパラリンピック競技の報道が望まれる。インターネットによる報道には拡充の余地が大きい。
・2020年のパラリンピック開催にあたり、メダルの個数よりも「社会変化」に一層の期待が寄せられていることが明らかになった。パラリンピックは日本社会を変えるツールとして、オリンピックに勝る力がある。
・2020年に向け、日本のみならずアジアにおける障害者スポーツの振興を図るべき。
・東京大会に向けた現在の大きな勢いを、2020年以降につながる流れとできるよう、競技団体の組織面・広報面の強化に取り組むことが課題。

調査結果については、こちらをご参照ください。